世界をひとつに
世界が離れていく
技術の発展で縮まったはずの世界が離れていく
加速度的に縮まった世界は、また加速度的に離れていき、もうどこにも見えない
果てしなく遠くにいってしまって、もう戻ってこない
みんなが言う
ひとびとが自分勝手に振る舞い、世界はバラバラになっていると
みんなが言う
ひとびとがおたがいを思いやり、世界はひとつにならなければいけないと
しかし、こうは考えられないだろうか
地球のはじまりのころ、もともとひとつだった世界がはなればなれになって以来、世界がひとつになったことなど一瞬たりともないのだと
地球の意志によって、世界ははなればなれになっているのだと
ひととひととはわかりあえない
ひとはひとが考えていることがわからないから
わたしにはあなたが考えていることがわかるなんていうのは
嘘か、思い上がりにすぎない
ひととひととは永遠にわかりあえないから、永遠に嘘をつきつづけて、永遠に騙されつづけて、おたがいを遠ざけている
だから、わかりあえないひとびとが集まって出来ている国も、世界も、当然わかりあえるはずなどない
世界もおたがいを遠ざける
地球の意志によって、世界ははなればなれになっているのだ