冷たい水の中をきみと歩いていく

平坦な戦場で生き延びること

リズと青い鳥文庫

場版『若おかみは小学生!』を観てきた。

www.waka-okami.jp

 

10/19(金)からTOHOシネマズでの上映が増えて(上野・新宿・日本橋・日比谷あたりでも追加された)より観に行きやすくなったので,まだの人は絶対観に行ったほうがいい。さすがに文部科学省選定作品(少年・家庭)だけのことはある名作だった。

 

感想は色んな人がすでに書いているしネタバレになってもアレなので詳述しないが,とにかく演出や描写が最高だった。よく言われていることであるが実写・アニメを問わず名作に出てくる食事というのは本当に美味しそうで,卵焼きの描写など珠玉であった。私は普通に劇場で「おっこ……おっこぉ……」と主人公に感情移入しすぎてマジ泣きする26歳成人男性になってしまったので,近いうちにまた観ることになると思う。歳を増すごとに死にまつわる作品や死そのものに触れる機会が増えていくからなのだろうか,最近は人が死ぬシーンを見るだけでもう涙腺崩壊してしまう。このままのペースだと10年後くらいには涙腺ガバガバすぎて一日中泣いているかもしれない。文字通り主に泣いてますになってしまいかねない。

 

さて,本題はタイトル通り青い鳥文庫についてである。というのも『若おかみは小学生!』の原作は青い鳥文庫であるからであるのだが,ちなみにタイトルの『リズと青い鳥』についても少し書くと,最近やっていた立川シネマシティの極上音響上映を観に行った。紙をめくる音でさえ聞こえる静寂な環境でのふたりの少女のあまりにも繊細な心理描写や触れると壊れてしまいそうなその関係性に胸を締め付けられ,完全にこれ(以下画像参照。美味しんぼ四万十川の鮎を食べて感動している京極さん)になってしまったので,すぐさま台本付きBlue-rayを予約したのは言うまでもない。

 

◯完全にこれになってしまったやつ

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余談だが,私は会社で「映画研究部」という部に所属している。活動内容は月に一回メンバーで会社の補助金を使って映画を観に行き,焼き肉を喰っているというわかりやすいものだ。その活動で5月には『リズと青い鳥』を観に行ったらしい。会社のメンバーで。30代・40代のオッサンたちが。ふたりの少女の壊れてしまいそうな関係性を。観に行ったのだそうだ。私は今の会社に6月に入社したので,後から「5月に『リズと青い鳥』って映画を観に行ったんだけど,女の子同士の淡い恋愛がよくわからなくてみんな困惑してしまった」という感想を聞いて爆笑してしまった。

 

さて話が無限に横道にそれてしまうが,そろそろ本題に戻る。青い鳥文庫,みなさんは読んだことあるだろうか。私と同世代(1992年生まれ)くらいの人は結構読んでいたのではないだろうか。

 

小学生の頃,私の周りでは『パスワード派(パソコン通信探偵団事件ノートが好き)』なる一派と夢水清志郎派(名探偵夢水清志郎事件ノートが好き)』なる一派が存在し,「こっちのが面白い!」「こっちのが楽しい!」と常に互いを牽制しあっていた。実際どっちも面白いんだけどね。子どもってどうでもいいことで優劣つけたがるからまあそういうことになる。

私はといえば『名探偵夢水清志郎事件ノートシリーズ』が好きだった。基本はゆるいミステリーなのだが,たまにシリアスな話もある。最後に読んだのは15年以上前だが,『機巧館のかぞえ唄』の最後の方,亜衣が欄干で倒れてからの幻想的なシーンは強烈で,かなり印象に残っている。あと『あやかし修学旅行』のドタバタ感は最高だった。これを読んだ小学生の時分,「修学旅行って楽しそう!絶対に行きたい!!」と思ったものだが,豈図らんや,小学校にも私が進学した中学校にも高校にも修学旅行というものは存在しなかった。中学校と高校は「修学旅行なんぞわざわざ学校が決めることでもないので各自勝手に行きたいところに行け」という感じだった。そういう校風なので中1の頃の遠足ですら現地集合・現地解散だった。いやいいんだけども。私は修学旅行を一生経験することなく,したがってみなさんが修めてきたような学を修める機会もないというわけなのだ。 

パスワードは、ひ・み・つ―パソコン通信探偵団事件ノート〈1〉 (講談社 青い鳥文庫)

パスワードは、ひ・み・つ―パソコン通信探偵団事件ノート〈1〉 (講談社 青い鳥文庫)

 
そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノ-ト (講談社青い鳥文庫)

そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノ-ト (講談社青い鳥文庫)

 

 

話をまた戻すと,作者のはやみねかおる氏自体も好きだったので,中学生くらいの頃に同作者の『虹北恭助の冒険』を読んでいた。響子ちゃん可愛い。

少年名探偵 虹北恭助の冒険 (講談社ノベルス)

少年名探偵 虹北恭助の冒険 (講談社ノベルス)

 

しかし普段互いに牽制しあっている『パスワード派』『夢水清志郎派』の両派がその手を携え,互いへの理解を深めるときがやってくる(書きながらテコンダーなんちゃらの一コマを思い出した)。それが『いつも心に好奇心!名探偵夢水清志郎VSパソコン通信探偵団』である。これは青い鳥文庫20周年を記念して行われた『パスワード』と『夢水清志郎』の競作であり,言うなれば永年に渡るきのこたけのこ戦争の終結である。あとセ・リーグパ・リーグ交流戦みたいなもんである。まあ野球知らないからよくわからんけど多分そんな感じじゃないか。

いつも心に好奇心! 名探偵夢水清志郎VSパソコン通信探偵団 (青い鳥文庫)

いつも心に好奇心! 名探偵夢水清志郎VSパソコン通信探偵団 (青い鳥文庫)

 

 

あと『青い鳥文庫』で印象的なのはFシリーズ森博嗣じゃないよ。よりSF色落強い作品が出ている。枠が青くなくてオレンジ色。ちょっと平凡社ライブラリーっぽいな。これも面白かった。小松左京とか筒井康隆の作品が結構出ているのも特徴だろう。

時間砲計画 (講談社青い鳥文庫)

時間砲計画 (講談社青い鳥文庫)

 
空中都市008 アオゾラ市のものがたり (講談社青い鳥文庫)

空中都市008 アオゾラ市のものがたり (講談社青い鳥文庫)

 
三丁目が戦争です (講談社青い鳥文庫)

三丁目が戦争です (講談社青い鳥文庫)

 

懐かしさにまかせていっぱい書いてしまった。

終わり。