冷たい水の中をきみと歩いていく

平坦な戦場で生き延びること

「ご注文はうさぎですか?」「はい」

イトルのまんまなのだが,先日うさぎをご注文した。

……レストランで

有り体に言えば,うさぎを食べた。まあ出落ちなのだが……。

 

先週,大学のサークルの卒業生とフレンチレストランに行った。前菜やアヒージョやペンネなんかを注文し,他なんか頼もうかとメニューを見るとなにやら「フライドウサギ」と書いてある。特に目玉メニューというふうでもなく,淡々と「フライドウサギ」。しかもよく見ると「フライド ウサギ」という感じに半角空いている。なんだこれ。一瞬脳の理解が追いつかずフリーズする。「フライド」まで見たあたりでそこに続く言葉は「ポテト」「チキン」あたりだろう,と高をくくっていた脳をあっさりと裏切り,そこにあった言葉はまさかの「ウサギ」。困惑気味に店員に「この『フライドウサギ』ってなんですか?」と聞くと嬉しそうに「フライしたウサギですね」と返される。絶対に食べてみたくなり注文する。

 

美味しんぼ』でウサギ肉のゼリー寄せとかそういう料理を見たことはあったが,いままでウサギを食べたことはなかった。ウサギはよく「鶏肉っぽい」と評されるが,いったいどうなのだろう。待つ。

 

前菜やアヒージョやペンネは普通に美味しい。これはウサギも美味しいだろうと期待が持てる。「おまたせしました~」と運ばれてきたそれは,ぱっと見フライドチキンとか白身魚のフライトかそういう代物だ。

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先輩「これ脚っぽいけど胴体とかどうしてるんだろ」

わたし「胴体は胴体で流通してるんですよきっと」

という謎な会話がありつつウサギをナイフとフォークで切り分ける。骨が太いので絶妙に切り分けにくい。お味の方は……

「鶏肉っぽいわ」で全会一致。

で,言ってから思った。「すぐ鶏肉っぽいって言っちゃうの,めっちゃダサい」

カエルを食っちゃあ鶏肉っぽい,ワニを食っちゃあ鶏肉っぽい,ウサギを食っちゃあ鶏肉っぽい……。あっさりしてたら全部鶏肉っぽいって評価じゃねーか!と自分の感性の乏しさが悲しくなった。もっと美味しんぼみたいに「馥郁たる香りが口いっぱいに広がって」とか「シャッキリポンと舌の上で踊る」とか言いたいのに,口をついて出てくるのは「鶏肉っぽいわ」。泣けてくる。

 

フライドウサギを食べていると先輩が学校でウサギを飼育していた話をし始める。こわいよ。わたしは小学生の頃ウサギの飼育委員で,すでに「シロ」という名前があったにもかかわらず頑なに「うさこ」と呼び続けたことをひとり思い出し,人んちのペットに勝手に名前つけるおばさんみたいだなと思いふふっとなっていた。

 

ちなみにこのお店,店員のノリがいい。でかいワイングラスを見てわたしが「ゆうじろうじゃん!!」とはしゃいでいた(26歳なのにでかいワイングラスではしゃいでいる……)のをスッと「ゆうたろうですよ。」と諌め,友人の結婚式の余興ででかいワイングラスを持ったらクソ重かったし,友人にプレゼントしたけど絶対邪魔だろうなあと思っているという謎エピソードを聞かせてくれた。

 

あ,タイトルにしてるけど『ごちうさ』って見たことないんだよね。なんかいまさら見るのもなみたいな感じになっちゃって。

終わり。