冷たい水の中をきみと歩いていく

平坦な戦場で生き延びること

有識者ほど「有識読み」をする

日,メガネを新調した。いままではスクエア型を使っていたが,やたら店内に陳列されている丸メガネが気になって気になって仕方がなかった。丸メガネ=サブカルという印象が強く,拒否反応もあったが,店員さんに聞くと今流行ってますよ!とのこと。せっかくなので丸メガネに乗り換えてみた。「どうせサブカル人間だしいいや」という開き直りもある。ところで「せっかくなので」という言い方,何が「せっかく」なのか全くわからないけどとにかく自分のペースに乗せようとしている感じが見え見えで良いよね。

 

さて本題に入る。つい先日,友人と飲んでいたときに「なんでも音読みで読みたがるひとっているよね」という話が出た。確かにいる,それ。

 

割と年齢高めのひとに多いが,吉本隆明(よしもと たかあき)」「よしもと りゅうめい」と読んだり大月隆寛(おおつき たかひろ )」「おおつき りゅうかん」と読んだりするひとがいる。何やらちょっと通っぽくてかっこいいけど開高健(かいこう たけし)」「かいこう けん」と読んでいるひとなんかを見ると単純に読み方を知らないだけでは?と思ってしまったりもする。麻雀用語になぞらえて「両面テープ」「リャンメンテープ」「対面」「トイメン」と読んだりするのも同じような感じだろうか。さらに言えば「すごい」を「ゴイスー」,「十二時を超える」を「テッペン」,「銀座で寿司」を「ザギンでシースー」,「仕事終わらない」を「ケツカッチン」と呼ぶみたいなものだろうか。まあ最後の方のは実際に言ってるのほぼ聞いたことないけど。

 

調べてみると,どうやらそれは「有識読み」というらしい。有識者がやたらと言いたがるから「有識読み」なのかと思いきや「有職故実」的な方面の意味らしく,「ゆうそくよみ」と読むのだそうだ。まあでも有識者ほどこれ言いたがるしダブルミーニングだと思うけど。

 

Wikipediaの記事が面白かったのでここにリンクを貼っておく。

ja.wikipedia.org

Wikipediaなので正確性は担保されていないけれども,以下の内容を引用する。

江戸時代以前には、その人物の本名をとし、他人が諱で呼ぶことを避ける習慣があった。代わりに輩行名百官名などの仮名で呼ぶ場合が多かったが、諱を音読みする場合もあった。

 

私の拙い認識では,古来は諱(本名)は忌み名とも呼ばれ,その名を呼ぶことは避けたという。Fateシリーズの「英霊の真名」みたいなものと考えて差し支えないと思う。なるほど,有識読みはオッサンが通ぶって言ってるだけかと思いきや,もとを正せば諱を音読みで呼んだことに由来するようである。まあ現代では通ぶって言ってるだけな感じはするけれども。

 

記事の中では有識読みの一覧が載っているが,政治家だと大野伴睦(おおの ともちか)」下村博文(しもむら ひろふみ)」なんかはそれぞれ「おおの ばんぼく」「しもむら はくぶん」というようにむしろ音読みの方しか知らなかったし山崎拓(やまさき ひらく)」に至っては「やまたく」という愛称しか知らなかった。うーん面白い。

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ペンネームや芸名で有識読みとして自分で名乗っている場合もたくさん掲載されているので,気になった方はリンクをご参照されたい。かなり興味深く読める。

 

会社でも自分の下の名前を有識読みして呼ばれているひとが何人かいるが,彼らも真名を知られないようにしているのかもしれない。もしやサーヴァントだったのか……。

 

終わり。