冷たい水の中をきみと歩いていく

平坦な戦場で生き延びること

ニトロコーヒーとはなんぞや

みなさんは「ニトロコーヒー」を知っているだろうか。どうやら水出しコーヒーにビールサーバーのような機械を通して窒素を送り込み,クリーミーな泡を発生させるシロモノらしい。今流行っているらしいが,僕は知らなかった。

 

なんで急にニトロコーヒーの話をするかと言えば,近所のコーヒー専門店が昨日から提供し始めたからだ。ここはテイクアウト専門店で,店内は1坪半しかない。しかしコーヒーの品質はすこぶる高い。店主が長らくコーヒー豆の通販事業をやっていたらしく,なかなか手に入らない高品質なコーヒーを安く提供してくれる。

 

ちなみに高品質なコーヒーのことをしばしば「スペシャルティコーヒー」というが,これは具体的には何を指すのだろうか? 日本スペシャルティコーヒー協会が示している定義を読むと,以下のようになっている。抽象的な一文目につい怪訝な表情になってしまうが,どうやら「風味の素晴らしさ」に加えて「サステナビリティ」と「トレーサビリティ」が重視されているようだ。

 

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。

風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。

カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup

具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。
そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。
さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。

scaj.org

 

さて,このコーヒー専門店で飲むコーヒーは,単なるスペシャルティコーヒーというにとどまらない。ジューシーでワインのような風味がある。よくコーヒーの風味で「チョコレート」「ナッツ」「花の香」みたいなのを聞くが,「言うほどか?」と感じることが多い。でもここのコーヒーはマジでワインのよう。特にホットコーヒーが冷めるほどにその風味は強烈になっていく。これは今までにないコーヒー体験! 店主に聞いてみると,ワインの樽で発酵させるアナエロビックファーメンテーション(嫌気性発酵)というのを経ているためこうなるらしい。ほお~。

 

ニトロコーヒーに話を戻す。これは最近ではスターバックスコーヒーなどでも提供しているものらしい。全然知らなかったー。

product.starbucks.co.jp

 

店主いわく,クラウドファンディングのリターンでニトロコーヒーを作るサーバーをもらったのだそうだ。本当だったら今年の夏に届く予定だったのに半年以上遅れてしまったらしい。確かに水出しコーヒーを泡立てるのであれば夏のほうがよさそう。

 

注文するとまだニトロコーヒーを頼んだ先客はおらず,一番乗りだったようだ。なんだか嬉しい。さっそく作ってもらう。ビールサーバーよろしく,クリーミーな泡が出て……こない。出てこないぞ!?

 

店主いわく「すいません,まだ炭酸がこなれていないみたいです」。そういうもんなのか。慣らし期間がいるのかな。とはいえニトロコーヒーはニトロコーヒー。窒素を添加しているためだろう,コーヒー自体はきめ細かい味がする。ビールのような泡は味わえなかったけど,美味しい。面白い体験ができたしこれはこれでオッケーだ。

 

次はクリーミーなやつお願いします,と約束して退店。あわあわなコーヒー,どんな感じなのだろうか。次回に期待!