冷たい水の中をきみと歩いていく

平坦な戦場で生き延びること

ほんわか

先日、別府温泉に行った。

地獄めぐりツアーというものがありそれに参加した。

7カ所の地獄をぐるぐるめぐる。

その中に、温泉の熱で熱帯魚を飼育している地獄があった。白池地獄といった。

頭の中にほんわかした風景が現れた。それはほんわかした顔の熱帯魚が温泉の中をすいすいと泳ぎ、「熱くないの?」と問えば「熱くないよー」とすいすい答える風景だ。ほんわか。

実際はもちろんそんなことなく、水槽に温泉を通したパイプが入っており、その熱で水を温めているとのことだった。少し安心したが、私はすいすい温泉を泳ぐ熱帯魚が見たかった。

鬼山地獄という地獄もあった。中にはやたらとワニがいて確かに地獄といえば地獄だが、なぜワニ…といった感想を禁じえなかった。

ワニは暑さに茹だっていた。

静岡にある熱川バナナワニ園という施設に行くことになり、バナナワニという黄色いワニに会えることを楽しみにしていた私は、そこがバナナとワニを展示しているにすぎないという現実を知って打ちのめされたものだ。

白池地獄にしても鬼山地獄にしても動物頼みなのがいけない。面白いは面白いのだが。

なんとなくバケーションのことを振り返りつつ日常に帰って行くのだ。