イベリア半島・レコンキスタの旅(スペイン・バルセロナ編)
先月,夏休みを利用してスペイン・ポルトガルに行ってきた。やや遅くなったが,旅行記をしたためてみる。思いの外分量が多くなってしまったので,こちらの記事ではスペイン・バルセロナ編のみにして,マドリード・ポルトガル編はまた後日で。
旅行の行程は,バルセロナ3泊⇒マドリード2泊⇒リスボン2泊。日本からバルセロナへの直行便はないので,途中でクウェートのドーハ空港にてトランジット。ちなみにカタール航空を利用したのだが,機内映画がかなり充実しており『バンブルビー』『スパイダーバース』など比較的新し目の映画もかなり入っていて驚いた。
「ドーハの悲劇」でしか名前を知らなかったドーハ空港,やたらと広い。
さてトランジットを済ませ,スペインはバルセロナ空港に到着。しかしここで地獄の入国審査が始まる。これはつらかった。
なにが地獄かって,それは入国審査を待つ長蛇の列だ。待てど暮らせど遅々として進まない。よく見ると受付は10ゲート以上あるものの稼働しているのは3ゲートほど。そりゃ進まないわけだ。長旅で疲れてるし,あまりエアコンが効いておらず暑い。うーん,羽田空港の出国審査は機械がパスポートを読み取るかたちになってて数分で済んだのになあ。そうこうしているうちにまた別便が到着して待機列がどんどん長くなっていく。なんとも海外っぽい感じ。
待つこと2時間,ようやく自分の番。一歩前に進むと審査官は隣の同僚らしき人と談笑している。そしてやおらこちらを一瞥したかと思うとドン!と審査のスタンプを押す。かなり適当っぽかったけど,それでいいのか。
何はともあれ無事スペインに入国。暑い……!!しかし,湿度は低くカラッとしていてイメージ通りの地中海性気候だった。こりゃ日本よりよっぽど過ごしやすいぞ……。
さて,空港駅で72時間の乗り放題パスを購入し,ホテルのあるSant Pau駅に向かう。3日間ではなく72時間なので,使い始めの時間を覚えておかないといけない。また入るときにはこれを改札に通すが,出るときには改札はない。ヨーロッパ各国で改札の様子が違う(例えば,イタリアでは切符を“有効化”させないといけない)のは興味深い。
ホテルのそばには世界遺産のサン・パウ病院がある。一見すると病院とは思えないくらい豪奢な建築物。夜のライトアップも美しい。
バルセロナで最も知名度が高いものといえば,ガウディによるサグラダ・ファミリアであろう。長年,未完成の象徴として語られてきたが,ガウディの没後100年・2026年に完成見込みなんだとか。でもここまで100年くらいかかってるのにあと7年で本当にできるのかなぁ。しかも動画で完成予想を見ると,かなり形が変わるようだ。
2026 We build tomorrow Construïm el demà Construimos el mañana
サグラダ・ファミリアを目の前にバルでごはんを食べる。イベリコ豚の生ハム,トーストにニンニクとトマトを塗ったパンコントマテ,揚げたじゃがいもにブラバソースをかけたブラバス。
街中にはガウディの作品が溢れていて,やはり芸術の街だと感じさせられる。カサ・ミラやカサ・バトリョを横目に街中を歩き回る。グエル公園はAlfons-X駅からバスが出ており,やや小高い丘にある。
また,珍しい乗り物としてフニクラというものがある。これはケーブルカーなのだが,「フニクラ」という名前は日本ではフニクリ・フニクラという歌で知られているのではないだろうか。だいたいは替え歌だけれども。実はこれ,イタリアの鉄道会社が宣伝のために作った歌であり,世界最古のCMソングとも言われている。
フニクラとテレフェリックを乗り継いでモンジュイック城に向かう。ここはバルセロナの市内が一望できるスポットだ。
また,バルセロナのLiceu駅のすぐそばにはボケリア市場という有名な市場がある。フレッシュなフルーツジュースや生ハムを食べながらブラブラ歩く。
また,バルセロナの海岸方面にも足を伸ばした。ビーチでは多くの人が泳いだり日焼けを楽しんでいた。港から遊覧船・ゴロンドリナス号に乗ったり,地中海を渡るテレフェリック(ゴンドラ)に乗って眺めを楽しんだりして海を満喫した。
シーフードレストランでパエリアなどを注文。日本のパエリアは結構カリカリしている印象だが,本家のパエリアは煮たような感じだ。シーフードの旨味がよく染み込んでいて美味だった。
また,立派なゴシック様式のカテドラルは圧巻であった。天にそびえる尖塔の格好良さに驚く。聖歌隊席の精巧な作りには思わずため息をついた。
夜にはフラメンコショーを見に行く。せっかくなので世界遺産であるカタルーニャ音楽堂で行われるショーのS席をあらかじめ予約しておいた。
外見も内装も本当に美しく,とても贅沢な時間を過ごすことができた。間近の席で見るフラメンコも情熱的で迫力がすさまじく,一生忘れられない経験になった。
また,スペインと言えば忘れられないのはピンチョス。バルをはしごしながらピンチョスをつまむ。頼み方がよくわからないのでとりあえず指差し注文。全体的にしょっぱ目なので,お酒に異常に合う。
ところで街を歩いていると黄色いリボンのマークをよく見かける。ピンクリボンやレッドリボンは見たことがあるが,黄色いリボンは見たことがなかった。これはなんだろう?と思って調べてみると,カタルーニャ独立運動のシンボルマークなのだそうだ。
確かにスペイン自体は“PIGS”(ポルトガル,イタリア,ギリシャ,スペイン)と呼ばれる財政状況が厳しい国に数えられている。一方で,バルセロナを含むカタルーニャ州はそのなかでも経済的に豊かであり,独立運動が常に燃え盛っている。2017年にはカタルーニャは独立宣言を行ったが,ただちにスペイン政府は無効を宣言し,いまなお対立は続いている。現在に至るまでの混乱が,カタルーニャ自治統領館に掲げられた“政治犯と国外追放者を解放しろ”という言葉からも伝わってくる。
さて,バルセロナ最終日。Sants駅からマドリードまで高速鉄道Renfeに乗って移動する。……しかし!なんと乗る予定だった電車がストライキでキャンセルになってしまったのだった。えーっ,なんだそれ。
事の顛末は次の記事で!ではでは。