冷たい水の中をきみと歩いていく

平坦な戦場で生き延びること

無題

確かなもの

 

わたしは確かなものだけがほしい

裏切ることがなく変わることがない普遍的で確かなものだけがほしい

 

わたしは確かだろうか、他人は確かだろうか

確かなものだけがほしいと希うわたしは確かなのだろうか

その確からしさはいったいぜんたいどこの誰が保証してくれるのだろうか

 

世の中にはわたしと他人しかいない

他人という存在にわたしが勝手にグラデーションをつけて家族と呼んだり恋人と呼んだり親友と呼んだり友人と呼んだりしているに過ぎない

家族は血縁、恋人はひとりと世間的には定義されているが、他人という存在のグラデーションはどこまでも不確かな気がする

いったいぜんたい、確かなものはどこにあるのだろうか

 

わたしは確かなものだけがほしい

真理も真実も、確かではない

なぜならそれはひとそれぞれが持っているからだ

ひとそれぞれが自分だけの真理や真実を持っているからだ

 

そうであるならば、

確かなものはこの世のどこにもない

この世のどこにもないということだけが確かだ

過去、確かなものを求めてこの世を儚んだひとは数知れないのだ